中国製フェラーリ?! | Barたまブログ   ФAlfaromeo+Volvo+BuellФ

中国製フェラーリ?!

アルファロメオの親会社はイタリアのフィアット社です。イタリア最大のコンツェルンにしてボルボと同じく巨大な企業体ですが、ここ10年ほどはイタリア国内の景気低迷やユーロ加入による通貨の影響で傾きかけています。イタリアの自動車メーカーはフィアットをはじめフェラーリ、アルファロメオ、マセラティ、ランチャ、ランボルギーニなどがありますが、このうちVWの資本参加を受けたランボ以外は全てフィアット傘下のブランドとなっています。フィアット傘下の自動車ビジネスで好調であったのはフェラーリのみで、他のブランドは軒並みシェアを落としていました。フィアットは業界再編に応じて資本提携先にGMを選択。資本提携とは言っても莫大な負債を抱えた自動車事業を身売りした形でした。当時は高級車であるフェラーリ以外は全てGM製シャシーとGM製腰下がベースになるのでは?アルファよ、またか?!とイタ車党は騒然となりましたが、このほど契約に不具合があるとの理由で資本提携が破棄されました。

ウチの親が03年にトリノへ旅行に行っていますが、当時トリノではフィアットの大幅なリストラ策が発表されており、大規模なデモが各地で頻発、観光バスがデモの大渋滞に巻き込まれ、徒歩で観光するハメに陥ってます。それほどイタリア国内に影響ある企業なんですな。

して、フィアットは赤字事業の自動車関連を身売りする相手を失います。今後、石油資源の枯渇で環境問題への取り組みは外せません。ハイブリッドなど次世代の技術を開発する余裕はフィアットにありませんので、どこかと提携するしか道は残っていません。ここで提携先に挙がったメーカーがなんと中国三大メーカーの一つ、「上海汽車」でした。

上海汽車は97年に設立された中国最大の中米合資企業で、中国国内向けにGMやVWとの合弁生産を行っています。現在、中国内でNo.1シェアはVWが持っており、型遅れのサンタナを安価に提供しており人気があります。ここ数年、活発にM&Aを繰り返しており昨年は韓国の双竜自動車を買収、一昨年は同じく大字自動車も買収しており、韓国内でオリジナルは現代自動車のみとなりました。その一方でイギリスのMGローバーGrpと業務提携を結んでおり、さらにトヨタと高級RV車生産(吉林省)の提携も進んでいるそうです。

このように現在の世界情勢を考えると、単独でフィアットが生き残れる可能性は少ないでしょうねぇ。となると提携先が必要ですが、まさか中国企業が第一候補となるとは思いもしませんでした。もし、この提携が実現したなら、問題になるのはフェラーリ株でしょう。仮にフェラーリを含まない提携とすると売却価格に大きく差が出ると予想されます。上海汽車としては今後の世界戦略を考えると壱からブランド構築するより、既に力のあるブランドを買収したほうが手っ取り早く安上がり。ブランド力のあるフェラーリは是非とも傘下に収めたいでしょう。だって、いざ欧州販売開始して例えばベルギーの購買者が広州自動車の製品と比較したとします。価格やサービス、品質は同じ。

「ん~上海と広州ねぇ、安いからどっちでもイイけど。おっ?上海ってF1のフェラーリのボディにロゴ貼ってあったよね?へっ?親会社なの?フェラーリの?じゃ、こっちの方がカッコいいからこっちにしよう。」

みたいな。

フェラーリはイタリア国民にとっての精神の象徴そのもの。誇りであり憧れであり、常にリスペクトされる対象である必要があります。このフェラーリを外国資本に売り渡してしまったら、イタリア国民はどーなるんでしょうか?先にイギリスの名門、ロータスが韓国KIAを通してマレーシアの企業に売却されました。クルマ好きで有名なイギリス国民は、当時既に衰退してしまった自動車事業にあきらめを感じていたように思います。BMWに買収されたローバー社が、ブランド力のあるMINIとLandroverを残し、他の乗用車部門を1ポンドで売却されたりしましたからねぇ。切り売りされて1ポンドじゃ、プライドはズタズタだったでしょう。これが、名門ロータス売却に繋がったよーな気がします。もー守る気力もなかったんでしょうなぁ。この辺りのイギリスと、今のイタリア、似ていると思うのはワイだけでしょうかねぇ?


OLIO FIATのロゴが入っただけで違和感あったのに、スクーデリア・フェラーリF2006(仮)のボディに「上海汽車」のマークが入る、なんてのは見たくないですねぇ。